ペチュニアの歴史(参考:須田しゅん一郎、サカタのタネ発行園芸通
信2000年1月号2月号 他) |
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ペチュニアの発見 |
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ペチュニアを発見したのはコメルソン(フランス人)でブーガンベル提督(ブーゲンビリアの由来になった)率いる世界就航船に乗って南米で多くの植物を発見した学者である。 1767年にウルグアイで見つけた白花をパリに送った。これによって原産地以外でペチュニアが初めて見られた。 1793年にタバコ属の1種とされ、1803年にタバコを意味する現地語ペチュンから、ペチュニアという名前が誕生した。コメルソンが発見した白花で背丈の高いア
キシラリスと1831年にヨーロッパに渡った赤紫色の背丈の低いインテグリフォリアの2つの野生のペチュニアが現在の園芸種のもとになっていると言われる。 |
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1834年:ウィルモア(英国人)がペチュニアの交雑種を展覧会に出品、1835年にロジャーがラベンダー色の品種を作出、1849年にはフランスで半八重咲き、1857年には八重咲きが出現、それ以降、現在までペチュニアをめぐる花作りの競争が続いている。 |
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ペチュニアの八重咲きは出現率が50%という不完全なものであったが、坂田武雄(Japan)が1920年に完全八重咲き種を発表した。坂田は坂田種苗(後のサカタのタネ)の創業者であり、オールダブルの品種ビクトリア/ミックスが全米審査会AASで銀賞を得て世界各地
に輸出された。作り方は秘密であったためJapanのペチュニアが独占したが、第二次世界戦争中にアメリカとカナダでオールダブルの開発に成功し独占は破れた
が、このサカタ/マジックによって坂田種苗は世界有数の種苗会社になった。 |
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ペチュニアの花づくり競争 |
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サカタ/マジックを解いて完全八重咲きのペチュニアを完成させたチャーリー/ウェッデル(米国)はバーピー社よ
り大量の種を発売し、その資金でパンアメリカン社を設立し多くの品種を作り出し成功を収めた。このようにペチュニアの開発は、ひとつの会社を興すほどの大
きな産業になっていった。 このような産業はベディングプラント(花壇用草花)産業と呼ばれ、それまでの切花産業や鉢花産業を追いこすほどに成長した。 |
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サフィニアの発売 |
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サフィニアという名前はサーフィンのようなペチュニアという気持ちをこめてつけられたようで、植物の名前ではな
く品種の商品名である。おそらくSurfiniaと書ける。しかし、あまりにも有名なためペチュニアの1種というよりも植物名と思ってしまう人も多い。こ
れを発売した(株)サントリーという会社はウィスキーやビール、清涼飲料水の会社である。 匍匐(ほふく)性のある野生種と市販種を交配して作出された挿木繁殖(栄養体繁殖)される品種で、それまでに多かった生産者向けに種で販売されるものでは
なく、一般消費者が苗で購入して手軽に咲かせることができるものであった。また、サントリー社が本来種苗会社ではなかったため、生花市場のような従来の
ルートではなく販売され、Japanの多くの園芸店やホームセンターなどで手軽に見ることができた。 |
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サフィニアに続くJapanのペチュニア |
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キリンウェーブを発売している(株)キリンもビールのJapanの会社である。ヨーロッパに普及したサフィニアに対して米国で普及している。 サカタのタネも匍匐性のペチュニアをクリーピアという名前で発売している。これはcreepingするペチュニアという意味が込められ、おそらくCreepiaと書けるだろう。 |
園芸種ペチュニアの比較 |
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春先になるとペチュニアの苗が非常にたくさん店先に並びます。苗で売っている花は、いくつか既に花が咲いていることが多く、また見本写
真がついているので選ぶのが楽です。いや、逆にどれもきれいに咲きそうで選ぶのに困ることもあります。 サントリーのサフィニア、キリンのウェーブは多くの店で見ることができます。サカタのタネのクリーピアは少し大きめのホームセンターの園芸コーナーで見つかります。(1999年つくば土浦地区) 他 にもJTとか一寸法師とか色々な種類のペチュニアが店先で見られますが、どれも本当にたくさん花が咲き、どれがいいとか勧められませんが、98年の経験で
は、長雨や日照不足などの天候不順の時でもクリーピアは一番多く花が咲きました。もちろん個体差があるかもしれませんのではっきりは分かりません。 |
ペチュニアの育て方 |
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種から育てるペチュニア |
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ペチュニアを種から育てたことがないのでよく分かりませんが、前年のこぼれ種で発芽して育ったものを観察すると、元がF1種なので次の花は花の色が少し異なり、また育ちにくいようです。種は非常に小さく、発芽温度が高いので、素人が真夏に咲かせるのは難しそうです。 岡山県井原市ではペチュニアとパンジーを市の花に指定していますが、ここにある県立精研高校ではペチュニアの新種開発をしているようです。 昨年は栃木県の親戚のおばさんにペチュニアの苗をもらってみごとに咲きましたが、農家などで温室があるところだと春早く育苗して初夏から咲かせることができると思います。 |
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苗から育てるペチュニア |
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園芸店ではペチュニアの苗がひと株300円くらいで売っています。ほんの少し酸性の土の方がよいので鹿沼土をいれてみましたが、梅雨前に直径が1mくらいになってしまし大きくなり過ぎてしまいました。 あまり大きくなると根元に花がなくなってすかすかになるので、そこそこのところで摘心して枝数を増やした方がよさそうです。 本には育て方がいろいろ書いてありますが、けっこう丈夫な花なのであまり気を遣う必要はなさそうです。 肥 料をあげすぎても問題があまりないようです。他の草花では窒素分の多く与えると葉っぱばかりで花が咲かないとか倒れやすいとかありますが、サフィニアやク
リーピアは水まきの時にハイポネックスを入れてジャージャーやっても平気でした。雑草に負けたり花が病気になることもなく丈夫です。 ただ、日光には十分に当てないといけないそうです。(日陰で育てたことがないのではっきりとは知りません) 咲き終わった花を取ったり、伸び過ぎた枝を切ったりする時は手袋をした方がよさそうです。品種によっては手がべたべたします。これは原種のペチュニアが動物や昆虫の害から実を守るためのものだそうです。 園芸上は非耐寒性の1年草となっていますが、冬を越して翌年も咲いたものもあります。 買ってきた苗は、土を掘ってマグヮンプを入れて植えて、水をまくだけです。後はお天気まかせです。 |
ペチュニアの魅力 |
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ペチュニアひとつで種苗会社ができたり、開発競争が行われたり、そんなにすごいものだとは知りませんでした。 はるか南米から欧米やJapanに渡ったペチュニアにとっては人間のすることは迷惑なことかもしれませんが、春から秋にかけて様々な色の花をたくさんつけて人々の心をなごませてくれる魅力のある花です。 |