F1ストーリー/小さなエフワンくーぱあー 
Cooper Carの話:クーパーはとても小さな偉大なレーシングカーです。
このページを書いた日時:2002年12月8日[クーパー][クライマックス]
小さなクルマクーパーはF1に大きな功績を残した偉大な車です。クーパーの歴史をずんぐりスケールで見てみましょう。

1950年

それまで行われていたフォーミュラレースからフォーミュラワンの世界選手権が始められました。
最初の年は1500ccのスーパーチャージャーエンジンを搭載したAlfa Romeo/Tipo158が圧勝しますが、なんと、クーパーもF3カーでグランプ リに出場します。さすがにエンジンは500cc単気筒ではなくV型2気筒の1100ccですがF1に混じってのF3では勝負になりません。モナコグランプ リにのみホーシェル/レーシングから出場しました。
絵は左の奥から、Alfa Romeo直列8気筒1500、Ferrari125V型12気筒1500cc、ゴルディーニ15直列4気筒1500cc、クーパーT12-JAPエンジン(空冷V型2気筒1100ccOHV) /クーパー以外はスーパーチャージャーなので250から300馬力はあるのですが、アマル製キャブレターのクーパーはわずか95馬力しかありません。それにしてもとても小さな車です。 非常にコンパクトなゴルディーニと比べても小さい。しかしクーパーだけがミッドシップエンジンなのです。
 

1952年

この年のF1は2000ccエンジンを搭載したF2で選手権が行われました。クーパーは本格的にグランプリカーを製作して参加しましたが、なんとフロントエンジンの車です。
エンジンはBMW328のエンジンを改良したブリストルBS直列6気筒2000cc。まだOHVですがソレックスキャブで130馬力を発揮。 マイク/ホーソンやレジ/パーネルなどがドライブしました。
グランプリはFerrariの圧勝。クーパーのホーソンが4人のFerrariドライバーにつぐ5位 。
絵は、左からFerrari500、マセラーティA6GCM、ゴルディーニ16、クーパーT20。Ferrariとマセラーティは直列4気筒、クーパーとゴルディには直列6気筒エンジン。
 

1955年

1953年はスターリング/モスがクーパーT24で出場、1954年は英国グランプリのみクーパーF2が出場。1955年はミッドシップエンジンのT40がスポット参加。
この年のF1は2500ccエンジンのフロントエンジンが多いがクーパーは2200ccエンジンのミッドシップ。ただしメルセデスの290馬力に対してクーパーは140馬力。
ドライバーは28歳の新人ジャック/Brabham。
絵は左からメルセデスW196、コンノート、LanciaD50、クーパーT40。
 

1957年

1955年と56年は英国グランプリのみのスポット参加だったクーパーがクーパーT43でワークスチーム として本格的にグランプリに参加を始めました。
エンジンはブリストル製2000ccの170馬力。
絵は奥からLancia/Ferrari、マセラーティ250F、ヴァンウォール、クーパーT43
 

1958年

クーパーはコベントリー/クライマックス直列4気筒195馬力。
まだ他の車よりパワーがないがミッドシップエンジンと軽量ボディとディスクブレーキで活躍。この年から始まったコンストラクターチャンピオンシップで3位 を獲得。
ドライバーは、Brabham、モス、McLarenなど。
絵は奥から、初代コンストラクターチャンピオンに輝いたヴァンウォール、Ferrari/ディノ156、この年から参加のロータス16、クーパーT45。
 

1959年

ついにクーパーがワールドチャンピオンに輝きます。ジャック/Brabhamがチャンピオンを獲得しただけではなく、FerrariやBRMを押さえてコンストラクターチャンピオンです。
コ ベントリークライマックス直列4気筒エンジンは2500ccにアップし240馬力。Ferrariやアストンマーチンの300馬力近いエンジンに比べてパワー に負けるクーパーですが小型軽量ミッドシップエンジン車がエフワングランプリを席捲しました。 この年にクーパーに乗ったドライバーは17名もいます。
絵は奥から、アストンマーチンDBR4/250直列6気筒、Ferrari/ディノ256V型6気筒、BRM P25、クーパーT51
 
  歴史に残る名車クーパーT51にはいくつもの種類がありました。
手前はクーパーT51/ クライマックス。
次がクーパーT51 /Ferrari(1960年)。
3番めはヨーマン/クレジットチームのクーパーT51クライマックス
一番奥は1959年出場のクーパーT51 /ボルクバルトでこれはF2仕様車。
なお、1959年にコンストラクターチャンピオンになったのはクーパー/クライマックスです。
また59年には同じくミッドシップエンジンのクーパーT43にも他のエンジンを載せたクーパー/オスカーやクーパー/マセラーティも出場しています。
 

1960年

好調クーパーはジャック/Brabhamが連続でワールドチャンピオン。クーパー/クライマックスも連続でコンストラクタチャンピオンとなり2年連続のワールドチャンピオンになります。
あわてた他のチームも次々にミッドシップ車に変わっていきます。
FerrariはミッドシップのF2車156を作ったが主力はフロントエンジンのディノ256。新鋭のロータスにも負けてコンストラクタ3位 に低迷。それだけミッドシップ車が優秀であることが証明されたのが1960年のグランプリです。
絵は奥からFerrari/ディノ256/60、ロータス18クライマックス直列4気筒、BRM-P48/BRM直列4気筒、クーパーT53/クライマックス直列4気筒。
 

1961年

2年連続のダブルチャンピオンの次の1961年はF1のレギュレーションが2500ccエンジンから1500ccエンジンに変更という大きな変化があり、クーパー以外のチームもみな小型軽量 のミッドシップ車にかわったため、クーパーの優位はいっきになくなりました。
グランプリはFerrariの圧勝でフィル/ヒルがアメリカ人初のチャンピオンになりました。
クーパーはFerrari、ロータスだけでなくポルシェにも抜かれて4位に転落してしまいます。
絵は手前から、クーパーT58クライマックスV型8気筒、ロータス21クライマックス直列4気筒、Ferrari156V型6気筒。一番奥のファーガソンP99クライマックス直列4気筒は4輪駆動車。ファーガソンはフロントエンジンの最後のF1です。
 

1962年

クーパーチームから元ワールドチャンピオンのジャック/Brabhamが独立してBrabhamチームを結成しました。チームのエースはブルース/McLarenになります。
グラハム/ヒルとBRMがダブルタイトルを獲得。ジム/クラークのロータスが躍進し、クーパーは3位 でした。
なお、ディフェンディングチャンピオンのFerrariはチームの主要メンバーが離脱し危機的状態に陥り一気に5位 まで転落してしまいます。
絵 は手前から、クーパーT60、ロータス25、BrabhamBT3、BRM-P48。BRM製V型8気筒エンジンの排気管が槍のように左右に4本ずつ出ているの がとてもユニークです。この時代になるとクーパーはあまり小さなエフワンではなく普通 のレーシングカーになっています。
 

1965年

低迷するクーパーにかわって時代はロータスの時代になっていった60年代中盤。JapanのHondaは2年目のフル参加。
クーパーは会社をチプステッド/モーターに売却するがエフワンは従来通り参加を続ける。
ジム/クラークとロータスがダブルチャンピオン。
絵は手前からクーパー77、Ferrari1512、HondaRA272、ロータス33。
 

1966年

クー パーのドライバーをずっと続けていたブルース/McLarenも自分のチームを作って独立。この年からエンジンが3000ccになりエンジン勢力図なども一 変した。FerrariはV型12気筒、BRMはH型16気筒、McLarenはセレニッシマV型8気筒、イーグルはウェスレイクV型12気筒など。
チャンピオンは意外にもパワーの劣るレプコV型8気筒のBrabham。62年にクーパーから独立したジャック/Brabhamは自分の名前の車でダブルタイトルを獲得ました。
クーパーT81はクーパー初のモノコックシャシー。ドライバーにはサーティース、エンジンはマセラーティV型12気筒を早くから準備したにもかかわらずコンストラクター3位 にとどまりました。
絵は手前から、クーパーT81マセラーティ、HondaRA273、McLarenM2B、イーグルT1Gウェスレイク、Ferrari312
 

1967年

クーパーはヨッヘン/リント、ペドロ/ロドリゲス、ジャッキー/イクスなどの歴史に残るドライバー達を擁して参加。
クーパーT86は最も格好の悪いF1と酷評される。スリムなBrabhamやロータスに比べて巨大なラジエターグリルのクーパーはあまり格好良くない。
チャンピオンシップはハルムとBrabhamがダブルタイトルを獲得。クーパーはロータスにつづいて3位 。
BrabhamはF2シャシーに非力なレプコエンジンでだがデニス/ハルム、ジャック/Brabhamによる完全制覇をなしとげた。強力なエンジンを持つHondaとFerrariはクーパーに続く4位 にとどまった。
絵は、手前からクーパーT86マセラーティ、HondaRA300、Ferrari312、ロータス33FordCosworth、BrabhamBT24レプコ