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新・漫画ガスの話 27
作成日2020/10/15 更新日2022/04/04

Cガスの科学/17世紀の科学史 ケインズによるニュートン研究

ボイルの法則を調べると必ずロバート・フックの存在にいきつきます。しかしフックの資料はほとんど残っておらず、ボイルあるいはニュートンの伝記の端っこに記述があるだけです。その理由は、ニュートンとフックの確執によって、ニュートンがフックの存在を歴史の闇に葬ったためである、ということはよく知られているのですが、では実際に何があったのかを記している書物はほとんど見つかりません。一方、ニュートンに関する書物は非常にたくさんあり、天才科学者だけれど、時々おかしなことをする人物だとされています。基本的には優れた科学者、英国では聖人扱いなのがニュートンです。
多くの資料が残っているニュートンですが、300年近く隠蔽されていた資料が20世紀初頭に発見されました。英国ポーツマス家に残されていた資料は公開され、それを入手した経済学者のケインズは、同国の英雄ニュートンを研究するために詳細な研究を行ないました。ケインズは政治家・造幣局長として有名なニュートンを研究しようとしたのですが、その中でニュートンが「最初の科学者」ではなく「最後の錬金術師」であったことを知り大きなショックを受けてしまいます。
ニュートンのオカルト趣味は少し知られていましたが、ケインズによるとニュートンの実像は科学者ではなくオカルト主義者の方が主であったというのです。王立協会と造幣局で長く独裁者として君臨したニュートンの実像を知ると捻じ曲げられていたフックの実像も見えてくるようです。ケインズの研究結果はニュートン生誕300周年学術集会で公表されました。