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第55回 実在気体の科学(4回目)気体と液体、その他の相
 2018/2/19

気体と液体の連続性
 気体は液化されて液体になるが、ファラデーによって「液体と気体は同じ物質」、「気体とは、沸点の低い液体の蒸気である」という概念が確立した。
 その後、同じ物質の異なる状態は、主に、固体、液体、気体、プラズマという4つの「相、phase」に区別されるようになった。相は、それぞれ分子間力などで定義され、物質の性質が突然変わる「相転移」から定義されるようになった。しかし、その境界は、厳密に決まっているものではなく、特に流体である「気体」と「液体」の性質は連続的であり、科学的な線引きは難しいということも分かっている。
 気体を冷却していくと液化が起こり、液体を加熱していくと気化が起こるというのは、自然によく起こる現象であり、人間はこれを大きな変化だと認識しているが、これを物質側から見ると、性質の変化ではなく量的な変化に過ぎないため、科学的には気体と液体を明確に区別することができないということである。
    「相」は全ての階層について定義できるものではない。ミクロスコピックな階層(10-9m以下)では液体と気体を区別するものがない。分子の数が極端に少ない場合、たとえば、酸素分子や窒素分子が1個だけ存在する場合、その状態を気体であるか液体であるかを決めることはできない。宇宙空間に漂う星間物質の状態も決めることもできない。星になる前の物質を宇宙の「ガス、チリ」と呼ぶが、「チリ」は固体のようなものを指し、「ガス」とは分子がバラバラになったようなものを指す言葉であるが。宇宙空間の「温度」は、およそ3K、地球上であれば気体として存在できないほどの低温状態であるが、この「ガス」は気体とも液体とも呼ぶことができない。
   気体と液体は非常に似た性質を持ち、明確に区分する基準がない。
 前述の実在気体の状態方程式も、実際は、流体の状態方程式であって気体だけの状態方程式ではない。液体と気体は、マクロスコピックな階層で気液の二相が共存するか、あるいは共存する領域の近辺で、二つの相を比べることができたときに、はじめて区別できる。
 次の表に物質の主要な3つの形態である「気体」・「液体」・「固体」の3つの相性質を、一般的によく知られている表現で示す。
 

物質の三態の主な性質

性質など

気相(気体)

液相(液体)

固相(固体)

原子、分子の結合力、
熱振動(格子振動)

結合力 << 熱振動

結合力 < 熱振動

結合力 >> 熱振動

粒子のブラウン運動

あり

あり

なし

粒子の位置関係

自由

自由

固定

粒子の距離

自由、圧力による

ほぼ一定

ほぼ一定

結晶格子

なし

なし

結晶(規則的)
非晶質(不規則)

粒子の長距離秩序

なし

なし

周期的繰り返し

圧縮性(縮みやすさ)


圧縮性流体

非常に小さい
非圧縮性流体

非常に小さい

剛性(変形のしにくさ)

なし

なし

その他の区分

連続体

流体

剛体、弾性体、塑性体

 

凝集系

   固体は、分子や原子の位置を自由に変えることができないが、流体は自由に変えることができるので、固体と流体の線引きは比較的はっきりしている。
  しかし、流体である気体と液体の違いを定義することは難しい。分子が高いエネルギーを持ち、分子間力が比較的小さいものを「気体」と呼び、分子は自由に動けるが、その距離をあまり変えることができないものを「液体」と呼ぶことができるが、この区分は、具体的な数値で決まるのではなく「相対的」であるため、比較する相手が存在しないと線引ができない。すなわち、気体の窒素を知っているとこれと比較して液体の窒素がどういうものであるかを判定することができるが、これは人間が判断するものであって、物質の持つ性質として、液体と気体が本質的に何かが異なるという訳ではないということである。
    液体と気体では、粒子(分子・原子)の間の距離や位置の関係が大きく異なるが、それは量的な違いであって本質的なものではない。
  また、圧縮性に関しても表には、液体は「非圧縮性流体」であると示しているが、液体が全く圧縮されないということはない。液体は圧縮されにくいという意味で非圧縮性、気体は比較的圧縮されやすいということから圧縮性と示されているが、これは便宜的な区分であって、条件によっては気体も非圧縮性とみなされることもある。圧縮性は相対的、量的な違いに過ぎず、液体と気体には本質的な違いはない。
  工学的、あるいは日常生活における常識の範囲では、その違いをはっきりと示すことができる気体と液体であるが、科学的には、境界がないとみるのが正しい。
    ファン・デル・ワールスが述べたように気体と液体の違いは性質ではなく量的なものであるから、気体と液体の両方が共存してはじめて、2つの相の比較からいずれが気体でいずれが液体であるという議論が可能になる。
 たとえば、通常の重力が存在するところに流体を静置し、この時気体と液体が共存できる条件があれば、気液に「自由界面(気液界面)」が現われ、区別ができる。下にある流体が、密度が高い流体で「液体」、上にある流体が、密度が小さい流体で「気体」であるということができる。
  垂直の配管中を上昇する気液二相流であれば、浮力によってより高速で上昇する気泡の中が気体(気相)であり、その周辺が液体(液相)であると、すぐに決めることができる。いずれの場合も、具体的に密度を測定しなくても、軽く浮き上がっている方が気体であると言い切ることが可能である。
 同じ物質の気液が共存する場合、重い方(密度が大きい方)を液体、軽い方(密度が小さい方)を気体と呼ぶことが可能である。
   科学的には区別がつかない気体と液体であるが、工学的にはこのように区別がはっきりとしている。しかし、非常に密度の高い「気体」と非常に密度の小さい「液体」が入った容器が単独で置かれた場合、それが気体なのか液体なのかを決めるのは簡単ではない。
  たとえば、臨界点では、気体と液体の密度は全く等しく、臨界点近傍の流体の性質を利用する工業技術も存在する。この場合は、重力下でも気液の界面は現われず、気体と液体は区別ができない。臨界点付近の重い気体と軽い液体には、違いがなく、気体、液体、超臨界流体、蒸気などの用語の定義や使い方もかなり難しい。
気体と液体の連続性・同一性に関する考察
   京都大学の吉村洋介氏がホームページに記述している「気体と液体の連続性・同一性/気体、液体、蒸気そして流体 」という記事に、物理化学の立場からみた気体と液体の区別の難しさが詳細に説明されている。
   吉村氏は、記事のまとめのところで次のように述べている「すでにファンデルワールスは、その著書(学位論文)の序文 で次のように語っています: 『私は厳密に言えばそれ(気体と液体状態の連続性)以上のことを証明しようと願った:つまり2つの凝集状態(=気相と液相)が等価だということである。液体中で分子がない混ぜられてより大きな原子複合体になることはないという、部分的には確立された仮説、この仮説が完全に確立したならば、2つの状態の間には単に密度の大小の違いがあるだけ、つまり量的な違いがあるだけである。』
  ファン・デル・ワールスが実在気体の状態方程式を導いた時、気体と液体の間には量的な違いがあるだけで性質の違いがないことを既に述べているということである。
 
 図は、よく知られている物質の状態を表すP-V線図(実在流体の状態図)である。
 
Kは臨界点(Kritische Punkt)である。(飽和液線、飽和蒸気線、気液共存などの文字はここで追加した)。
 吉村氏によると、この図は、ボルツマンの「気体論講義」に示されたの図であり、ボルツマンは、臨界点を通る等温線を境にして気体と蒸気を定義、図のように臨界点より容積が小さい部分(密度が大きい部分)を液体と定義したという(気液共存部分を除いて3つに分割する定義)。
   気体、蒸気、液体をこのようにして分ける方法はボルツマンのオリジナルアイデアなのか、当時の科学の一般的な解釈かは不明とのことであるが、臨界温度以上の流体は全て気体、臨界温度以下の流体を2つに分けて密度が小さい方を蒸気、密度が大きい方を液体とする、この考え方は、熱力学における相平衡の考えのスタンダードになったようである。
 この方法は、等温条件での膨張・圧縮という操作を元にした定義であるが、吉村氏は、過程を等温変化に限定する理由は見当たらないとして、以下のような議論を行っている。
 
 もし等圧変化に注目するとしたら、図Aのように、臨界圧力の上と下で分けられるべきであり、高圧側を気体、低圧側を蒸気と呼び、低圧で高密度側の流体を液体と呼ぶことができるとしている。
  (実際には、このような区分をしている教科書は見当たらない)
 
 次に、臨界点を特別視するという考えに基づくと、図Bのように臨界点より圧力の高い流体を「超臨界流体」、それ以下の圧力の流体を気体と呼ぶことになるという。
 ボルツマンが「気体」と呼んだ領域のうち臨界圧力も圧力が高い領域を特別なものとする考えであり、超臨界流体の研究者に、この定義を好む人が多いのだという。
 
 次に、等温変化でも等圧変化でもなく等積変化を考えると図Cのような定義が可能になるという。一定の容積の容器の中に流体を閉じ込めておいて、液化操作や気化操作を行えばこのような線引が可能になる。
(グラフの垂直方向の変化であり、加熱や冷却に応じて圧力と温度が変化し、気体中に霧が発生したり、液体の中に気泡が発生したりするといった現象から気体と液体が定義できる)
 
 吉村氏によると、『ボルツマン自身が「気体論講義」 の中で「気体」「蒸気」「液体」の3分法を述べた後で、この定義のあいまいさを認めているということであり、そもそも気体と液体は同じで、区別は無意味だという思い切った考えも出て来る』ということなので、図Dのように気液が共存する領域以外は分けずに「流体」と呼ぶことも可能だということになる。
   常温、常圧付近からさほど離れていない条件で、気体(空気、水蒸気)や液体(水)を眺めている時は、気体と液体の区分けや定義についてさほど悩むことはないと思う。しかし、よく考えてみるとファン・デル・ワールスが述べているように気体と液体には性質の違いはなく、量的な違いしかなく、液体、気体、蒸気と3つの状態を定義したボルツマン自身もこのような定義が曖昧であることを指摘している。
  なお、ここに示した5つの図は吉村氏の図を眺めながら文字などを入れたもので、この5種類の表現方法が広く認められているというものではないが、気体、液体、蒸気という言葉の定義の難しさがよく分かるので参考にした。
  産業ガスの技術領域は、理想気体から遠く外れた臨界点に近い状態の流体を取り扱うことが多い。工学的な観点だけでなく、科学的に気体と液体を議論することも重要である。
超臨界の利用技術
   臨界点の右上の領域は、「超臨界流体」と呼ばれているが、その下の領域は、過熱蒸気、要するに気体そのものである。臨界圧力よりも高圧の気体を超臨界流体(supercritical fluid、SCF)と別の名前で呼ぶ。超臨界流体は臨界温度よりも高温で臨界圧力よりも高圧の気体であるが、液体と気体の区別がつかない「臨界点」を越えた領域にあるためこのように呼ばれる。
 超臨界流体とは、臨界点以上の温度・圧力にある物質の状態として定義される。この領域の流体は、一般的な気体が持つ拡散性と、液体が持つ溶解性を合わせ持つことが知られており、およそ次のような特長があるといわれている。
 

@圧力を変えると大きな密度変化があるため、大きな溶解度差が得られる。
A低粘性で高拡散性であるため液体溶媒よりも物質移動が有利
B熱容量と熱伝導率が大きく,高い熱流束が得られる。
C溶媒和(solvation、水の場合は水和)により反応速度が大きい

    溶媒などのプロセス流体の物性を変えようとするとき、温度を急激に変化させることは容易ではないが、圧力を変化させることは比較的容易である。臨界点付近や超臨界流体では、小さな圧力変化によって物性を大きく変えることができるため、たとえば、圧力制御を行うことによって特定の物質を溶解させたり、析出させたりといった操作が可能となる。超臨界流体は、従来の有機溶媒に代わる環境負荷の小さな分離・反応溶媒としての利用が期待されている。表に代表的な物質の臨界温度と臨界圧力を示す。臨界点付近を除けば、ガス屋が取り扱う流体の気体と液体の境界は、比較的はっきりとしている。工学的には気液の物性は大きく異なっており、特に低温気液二相流の取り扱いが工学的に重要な研究課題となっている。
 

超臨界流体の利用が考えられる物質の臨界温度および臨界圧力

物質

TC [K]

PC [MPa]

利用例

二酸化炭素

304.12

7.374

様々な物質をよく溶解することと、溶解後に二酸化炭素を気化させて回収しやすいこと、臨界温度が室温に近いため熱変性を起こしやすい物質の抽出・分離に向いていることなどが特長。
油や機能性食品の有効成分の抽出や食品・医療機器の殺菌など

647.14

22.064

臨界温度が高く、酸化力が非常に高いため、分解しにくい物質を分解することができる。
PCBやダイオキシンの分解利用が考えられている。

メタン

190.56

4.599

 

エタン

305.32

4.872

 

プロパン

369.83

4.248

 

メタノール

512.64

8.097

使用済みのPETボトルを粉砕したものと反応させてPETの原料モノマーに加溶媒分解する。

エタノール

513.92

6.148

 

低温流体の気液二相流
    深冷空気分離装置の圧力は、500kPa程度であるため、一般的な工業装置と比較すると、あまり高圧とはいえないが、運転温度が80K程度と低い。(法令上、このような低温の液体は「高圧ガス」とされる。容器の中でそのまま常温まで昇温すると、蒸発して高い圧力の気体になるため、「液化ガス」は「高圧ガス」として取り扱われる。)
  高圧ではないが低温であるため、気体空気と液体空気の密度比はあまり大きくなく、気液が共存する領域では、空気や窒素の気液の密度比(ρLG)は、30〜500ほどになっている。これは、水と水蒸気の密度比が1600ほど(100℃のときの液体の密度959kg/m3、気体の密度0.6kg/m3)であることと比較すると、気液の密度比がかなり小さい。
  これを工業プロセスにおいて非常に応用範囲が広い水−水蒸気系(発電用のスチームなど)から見ると、高温・高圧の条件における密度比が低温・低圧の窒素の密度比に近づくということを意味する。
 液体窒素などの低温気液二相流は、低い圧力の状態でも、高温高圧の水−水蒸気プロセスに似通った物性や挙動を再現することが可能になるということである。
   工学的には、いくつかの相が共存する流れを「混相流(multi-phase flow)」と呼び、気−固混相流、気液二相流(vapour-liquid two phase flow)などが、機械工学、化学工学系の重要な研究テーマとなっている。深冷空気分離装置の中には、蒸留塔や熱交換器など、気液が共存する機器が多く、気液の体積比、質量比、密度比などによって、それぞれ特徴的な流れを生じる。低温気液二相流特有の伝熱(沸騰・凝縮)と物質移動(蒸留)に関する詳細な研究が行われている。
 混相流の中には、異なる相が混じらずに層をなす流れがあり、たとえば、気液二相流の水平配管であれば、配管の下側に液体、上側に気体が二つの層に分離した成層流れ(stratified flow)が生じることがある。もし成層流れが、高温の冷却管で生じると、伝熱性能が低下して金属が焼損するおそれがある。
  高温高圧の水蒸気を取り扱う装置(加熱器、熱交換器、原子炉など)では、高効率で安全な装置の設計・運転のために、気液二相流の研究は重要なテーマである。
    一方、低温の装置では、伝熱性能が低下しても、さすがに金属が焼損するほどの高温にはならないため、機器の限界性能の実験的研究のために、実流体ではなく液体窒素などの低温流体を用いて安全に実験を行うことが可能である。しかも圧力が、低い状態でも高温高圧のスチーム系を模擬することが可能になる。完全に同じ流体ではないので、全ての物性が等しくなることはないが、試験流体としてはかなり使いやすい。また、高温高圧の気液二相流の流動・伝熱研究は社会的要求が高く、コストのかかる研究も行われているため、その成果が逆に液体窒素などの低温流体を取り扱う機器の研究や設計に利用されることもある。
   
   成層流れは、気液二相流だけでなく、気体と気体、液体と液体が混じりあわない場合にも起こる。このような場合は、混相流(二相流)ではなく「密度成層」と呼ばれる。重力のある地球上では、密度による分離が様々なところにあり、大気や海洋の研究では、成層(stratification)の取り扱いが重要である。
 なお、特定の分野で「2層流」という言葉を耳にすることがある。「二相流」と日本語の発音が同じであるため紛らわしい。気液二相流は広く認知され、古くからひとつの研究領域として研究されているが、二相(phase)と2層(layrer)では概念が全く異なる。
気体・液体・固体以外の相
  一般的な物質の相図には、気相、液相、固相の3つの状態が示されるが、物質の状態を示す「相」は3種類だけではない。いくつかの特徴ある相についてまとめる。
  @液晶(liquid crystal)
    液体の流動性と結晶の異方性を持つ状態を「液晶」と呼ぶ。特定の物質では、分子は液体のように流動するが、全ての方向が揃っていて自由な回転ができないという状態、液晶が存在する。発見されたのは1888年とかなり古い。
 液晶には、サーモトロピック液晶(熱や圧力によって相変化するもの)とリオトロピック液晶(温度と成分の構成によって相変化するもの)がある。
  「液体と固体の中間の性質を持つ」状態というのは、イメージしやすいものではないが、液晶を用いた液晶ディスプレイパネルが生活の中に広く浸透しており、利用技術としては全く珍しいものではなくなっている。1968年に最初に液晶表示装置が開発され、その後、モノクロ表示→カラー表示、セグメント表示→ドット・マトリクス表示と進化し、1990年代以降は、大型のテレビからカメラ、携帯電話、時計まで大小様々な機器の表示装置に使用されるようになった。
  Aアモルファス(amorphous
    「アモルファス (非晶質)」は、結晶のような長距離秩序はないが、短距離秩序を持つ物質の状態である。液体のような乱雑な構造を持つが、分子は比較的固定されているため、固体に分類されることもある。よく知られるアモルファスには、ガラス、ゴム状態、ポリスチレン、アモルファス半導体(アモルファスシリコン)、アモルファスカーボン(無定形炭素)、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)などがある。
   多くのアモルファスは、「ガラス転移温度」以上になると軟化し液体状になる。アモルファスである「ガラス」は液体なのか固体なのか、という問題が議論されている。固体とは、「分子が規則正しく並んだ構造をとる結晶」と定義されるが、ガラスの内部は分子がランダムにつまった構造であるから、定義としては「液体」である。この「動きが凍結した液体」のことを「ガラス状態」というが、では、これを粘性が極端に大きな液体とするのか、「ガラス相」という新しい状態とするのか、まだよく解明されていない。
ガラスは液体なのか固体なのかという問題は、液体とは何かという科学の問題でもある。
また、非常に大きなスケールでは、同じものが固体であったり液体であったりする。地球内部のマントルは、岩石であり地球化学的には「固体」であり、地震波の伝達からも固体とされている。しかし、時間軸を長くとると対流しているため、地球物理学的には「液体」とみることもできる。
    アモルファスを発見したイェンス・ベルセリウス(1779〜1848年、スウェーデン)は、化学の分野で極めて重要な多くの発見と功績が知られている。(原光雄著「化学を築いた人々」14名の中の6番目に記されている)。
  ベルセリウスは、元素記号をアルファベットの一文字(あるいは二文字)で表わすことを提唱、化学を有機化学と無機化学に分類、3つの新元素を発見している(セレン、トリウム、セリウム)。
  ドルトンの求めた原子量は非常に不正確なものであったが、ベルセリウスは数多くの元素の原子量を精密に測定、分子原子仮説を進展させた。また、アモルファスの他にも、ハロゲン、異性体、有機物、触媒、たんぱく質など数多くの化学の用語を考案している。
  B低温での特殊な状態
   低温における「超伝導状態(現象)」が見出されている(1911年、ヘイケ・カメルリング・オネスが発見)。超伝導体は、完全な導電性を持ち、磁場を排除する。超電導機器などに利用されている。超低温において「超流動状態(現象)」が見出されて(1937年、ピョートル・カピッツァが発見)、流体は、「完全流体」となり完全な熱伝導性も持つ。
  C高温での特殊な状態
   高温の気体ではプラズマ状態が現われる。電子が原子から離れ、自由に動き回れる状態となる。宇宙では最も多い物質の状態である。