「パパちんの頸椎椎間板ヘルニア体験記」

インターネットにはたくさんの情報があります。
体験や情報が同じような悩みを持っている人に少しでも役立てれば、
と思い体験記をまとめました。

このページは文字を大きめにしています。
このページは、医学の専門家や医療スタッフでもないひとりの患者の体験記です。参考になるかどうかも分かりませんし、専門的には間違っている部分もあると思います。
頸椎の椎間板ヘルニア 頸椎の椎間板ヘルニア 頸椎の椎間板ヘルニアのために何年も悩まされました。
PLDD法手術を決心するまで PLDD法があるのを知りました。でもすぐには決断できませんでした。
PLDD法手術 PLDD法手術 PLDD法手術のために入院しました。
PLDD法手術の後 PLDD法手術の後の経過です。
感想です 治療して頂いた先生と医療スタッフの皆さん、家族にも感謝の気持ちで一杯です。 ずっと感想のページを書かないでいたら、治ったのですかというメールをいただいてしまいました。 ヘルニアの症状はその後出ていません。(2004年6月記入)
このページは以前作っていたページを1ページにまとめなおしたものです。インターネット環境がよくなってきたので細かく分散していたページをひとまとめにしました。
(旧ページ)頸椎の椎間板ヘルニア   PLDD法手術を決心するまで    PLDD法手術PLDD法手術の後

頸椎の椎間板ヘルニア

 椎間板ヘルニア?


人間はほ乳類で脊椎動物(背骨のある動物)です。

背骨は首の骨(頸椎)と腰の骨(腰椎)に別けて呼ばれていますが、ずっとつながっていて基本的には同じものです。
絵に書くと首の骨は大体こんな感じです。
首の骨は7つあり関節や靱帯でつながっていますが骨と骨の間には椎間板(英語ではDisk)という軟骨のようなクッションがあります。
骨の後部の管の中には大事な脊髄が通っておりそこから骨の隙間を通って腕や手の方に神経が出ています。
椎間板の一部がが飛び出して神経などを圧迫するのが椎間板ヘルニアという病気です。
構造的には5番目と6番目の間に負担が集中しやすいようですが、私のヘルニアもここの椎間板にできました。車のサスペンションなどのリンク(関節)部分によ くゴム製のブッシュが入っていることがありますがそのゴムが変形したりして近くにある電線などを押しているために調子がおかしくなる、そんな感じです。機 械だと部品を簡単に交換できますが人間は簡単ではありません。そのかわり人間には自己修復機能がありますが、残念ながら飛び出したヘルニアが自然に元に戻 ることはほとんどないようです。

頸椎の椎間板ヘルニア
あまり聞き慣れないかもしれませんが、首のヘルニアになってしまいました。
頸椎の椎間板ヘルニアと診断されたのは94年の夏頃のことです。
MRI検査という検査を受けてわかりました
  MRI検査とは
    90年から忙しかった仕事が一息ついた94年頃、目眩が続いて体も非常に疲れやすくなりました。
思いきって近くの脳神経外科(川崎市)に診てもらいました。
初めにCTスキャンで自分の頭の中を映像で見ました。あちこち調べて脳には異常なしでした。その時頸のレントゲン写真をみて怪しいと思った医師の勧めでMRI診断を受けました。
MRIというのは Magnetic Resonance Imaging の略で磁気共鳴診断と言われています。
核磁気共鳴 (Nuclear Magnetic Resonance)による測定器が普及していますが、医療機器では核磁気と言わずに磁気共鳴画像と呼んでいるようです。
核磁気共鳴測定というのは、高磁場中でスピンがそろった原子核に電磁波などを当てて共鳴による信号を読み取る方法です。原子核のほんの小さなささ やきのような信号なのですが、これを測定して画像にするという技術が発達してきて、その当時から各地の病院などで使われるようになりました。医療用の診断 では水素の原子核をとらえることによって画像をつくります。最初はなぜこのような検査をするのか分かりませんでしたが、骨や軟骨の映像を正確にとらえるに はX線よりも優れているそうです。

初めて受けたMRI検査

    大学病院を紹介されて、予約して検査を受けました。
具合が悪くて我慢できずに病院に行ったのですが、原因も分からない(したがって何の治療もできない)不安な中で検査を受けたので痛みのない検査とはいえ精神的にはかなりまいってしまいました。
検査の場所は大学病院の地下室で、大きなレントゲン室のようなところです。
検査の日は朝から絶食ということでかなりへばっていました。
金属製品を持っていないかといった様々な注意を受けて検査着に着替えました。
トンネルのような機械に仰向けに寝たまま入ります。廊下などに貼ってある写真などで機械の形や様子は分かっていたのですが、薄暗くて恐い場所でした。
室内は機械の音でかなりうるさいため異常があったら手に握っているゴムボールを押すことになっていました。検査を始めて10秒くらいで、緊急連絡 用のゴムボールをすぐに押してしまいました。本当に連絡できるのか試したかったのと、狭いところが苦手で心の準備ができていなかったためです。検査の人が 部屋の灯りを少しつけてくれました。
動くと映像がぶれるということでひたすら動かないようにがまんしました。トンネルが狭く、経過時間も分からない、廻りでは強磁場用の液体ヘリウ ムの液化機のポンプらしい不気味な音だけがします。1時間近くかかったのですが全く時間の経過がわからないためとんでもなく長く感じました。
狭さ、機械の騒音の大きさ、測定(検査)時間の長さ、など最近の機械に比べるとずいぶんと違います。苦痛のない検査とはいいますが、じっとしているのはかなり大変でした。
ヘルニアの診断

しばらく日数がたってMRIの検査結果ができてきました。頸椎の椎間板にヘルニアがあると診断されました。
人間の脊椎は、くびの骨と背骨がつながっていて、基本的には同じ構造をしています。
くびには、7つの骨があり骨と骨は関節のようにつながっていますが、それぞれの間には椎間板とよばれるクッションがあります。それぞれが靱帯で結合されていて、後側の管に脊髄が通 っています。骨と骨の間からは腕などへの抹消神経が出ています。この椎間板の変型などが様々な神経の病気の原因になります。構造的には第5頸椎と第6頸椎の間に負担が集中して椎間板が変形しやすいのだそうです。
椎 間板は中心に髄核という中味があり外側が線維輪(せんいりん:繊維でなく線維と書く)に囲まれた構造になっています。この髄核の一部が線維輪から飛び出し て神経や脊髄を圧迫するのが椎間板ヘルニアという病気です。ヘルニアがあっても、全く症状のないという人もいるということですので、神経などを圧迫して自 覚症状がある場合に病気と診断されるようです。
腰椎のヘルニアというのは比較的よく耳にするのですが、頸椎のヘルニアというのは初めて聞きました。先生の説明によると、腰と同様に首のヘルニアも少なく ないと思うが、MRIのような検査方法ができるまでは発見されにくかった病気とのことでした。
私の場合、5ー6頸椎間の少し左側にヘルニアがあり、およそ上の図のような感じです。素人がみるとよく分からない映像が多いのですが、横から見た映像だと 左の絵のような感じなので分かりやすいようです。脊髄の線が滑らかでなく、ボコンとへこんだように見えました。
ヘルニアを治す方法

椎間板ヘルニアというのは、ほっておいてひとりでにへこむ、というのはまずない、と言われました。手術を取ることができると言われたので、つらい症状をなくしたいので手術をしたいと言ったところ、その病院の院長先生と相談することになりました。
院長先生は年輩の先生で次のような話をされました。


安全に手術はできるが、リハビリも含めた休業期間がかなり長い。
ヘルニアを切り取る手術は患者の負担が小さくないので今の症状なら勧めたくない。
医療は進歩しているのでいつかもっとよい方法がみつかるかもしれない。今は牽引や薬を続けてがまんした方がよい。


結局、手術はしないことになり仕事の時間の都合をつけては頸椎牽引に通 いました。
これは保存療法で頸の筋肉の緊張をとって血液の循環を良くするためのものです。私の場合は、効果 があるときもあれば逆に悪化するすることもあり痛み止めも飲みました。しかし肩凝りや頭痛、目眩などの症状は続きました。

持病になってしまった椎間板ヘルニアの症状


同じ病気でも症状は人によって様々であり、また、他の人には痛みやつらさはわからないものです。特に高熱が出たり、動けないほどではないため、周りから見ると病気にはみえません。これが無理して仕事を続ける要因にもなり、ストレスもたまります。


周囲の人に、よく聞かれるのが「原因は何だ」ということです。
自分には思い当た ることはないのですが、30才くらいの時に肩が非常に痛くてレントゲンをとってもらった時に、頸椎の間隔が一部狭いようなので気をつけた方がよいと言われ たことが記憶にあります。事故などによる頸椎捻挫だと原因がはっきりと分かるのですが、ヘルニアになった原因ははっきりしません。自分では経年劣化ではな いだろうかと思っています。


 

転勤で川崎から茨城に引っ越しました。
ここで病院をかわることになったのですが、たまたまいった整形外科がAPLD(自動経皮的椎間板摘出術)をするところでした。
この頃は、引っ越しなどの無理がたたったのか、上半身だけでなく足の筋肉が凝ってしまい歩くのがつらい状態になってしまい、なんとか治したいと思って病院に行ったのですが、残念ながらこの方法は頸椎には適用できないとわかりました。
この方法はニュークレオトム・システムというのを使い、直径2ミリメートルくらいのステンレスの針を髄核に挿してヘルニアをへこませるて圧迫を取るという ものです、手術に比べるとかなり患者の負担が少ないということですが腰椎の椎間板ヘルニアのための治療法とのことです。


結局、頸椎牽引と薬で過ごすことになりましたが、よくなったり悪くなったりの繰り返しで敢然な持病モードになってしまいました。
薬も飲み続けていると健康診断の血液検査の値に影響してしまったのでがまんできないくらい痛い時だけ鎮痛剤を飲むという生活になり、牽引もかえって症状が 悪化することが多くなりました。肩にブロック麻酔を注射する方法も、一時的に痛みはなくなりますが効果 は長続きしません。この注射、脂汗が出るほど痛い。
持病をかかえるというのは大変なことだと思いました。病院の待ち合い室で過ごす時間がかなり多くなり、そのうち通 院するのもつらくなり次第に病院にも行かなくなりました。治す決め手もないまま悶々と過ごすことになりました。

5年たって、やっぱり何とかしなければ、と思うようになりました。


症状が重かったり軽かったりの周期があるのですが、だんだんと悪い時間が長くなってくるので気が重くなります。全体的にじわじわと悪くなってくるのが分かります。



握力がどんどんなくなってコップを持つのも怪しくなってきた
朝起きた時は、しばらく物が握れず上半身が鉛のように重い
腱反射が強くなり、ちょっと触れらるだけでもビクンとする
太ももの筋肉が硬直することが多くなりつらい
炎症があると全身がだるく微熱がでる
階段を降りる時や会議中にひどい目眩が起こることがある


99年になって1年近く行っていなかった病院にもう一度行き、またMRI検査を受けました。映像からはヘルニアはほとんど変化していないことがわかりました。
今度の先生は、いろいろと検査をして、これ以上悪化しないうちに手術(切開手術によるヘルニアの除去)をした方がよいと勧めました。半分は観念したのですが、1ヶ月の安静とその後のリハビリのことを聞くとどうしても決断できません。


持病というのは付き合いが長いのでいろいろな情報が欲しくなります。周囲には腰椎のヘルニアになった人がいるのでいろいろ教えてくれたり本を紹介してくれ たりするのですが、なかなか頸椎については情報がありません。まして手術をするとなるとどんな情報でも欲しくなります。
そこでダメモトでインターネットの検索エンジンをたよりに探しました。素人なので専門書を読むわけにもいかないのですが、インターネットなら素人にも分かりやすく解説しているところがあるかもしれないと思いました。
PLDD法というのがあるのを知りました。
 
 


PLDD法手術を決心するまで(頸椎の椎間板ヘルニア)

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インターネットの検索エンジンで「椎間板ヘルニア」を検索しました

検索したらPLDD法がみつかりました
初めは、「頸椎椎間板ヘルニア」で検索したのですが、ほとんど何もヒットしません。
そこで「椎間板ヘルニア」で検索したら、たくさんのページが検索されました。
マッ キントッシュのインターネットエクスプローラだと各ページの要約を次々にみることができるので片っ端から内容を読んでいきました。医療機関や正負機関によ る椎間板ヘルニアの情報以外にも、ヘルニアになってしまった人の体験談などをホームページから読むことができました。
そうしたらPLDD法というレーザーによる髄核蒸散法のページが比較的多いことがわかりました。これは、まだ健康保険は使えないけれど従来法の手術に比べ ると非常に患者への負担が少ない(侵襲性が少ない)方法のようです。ひとつだけ、千葉県茂原市の病院で頸椎にもPLDD法を適用するという情報をみつけま した。
http://www.nttl-net.ne.jp/mfclinic/index.html
アドレスが変ったようです。(2000年12月確認しました)http://www4.ocn.ne.jp/~mfclinic/




PLDD法は絵にするとこんな感じです。
金属製の細いパイプ(たぶんステンレスだと思う)を皮膚の上から挿してその中にレーザー光の伝送用のファイバーを入れ髄核の一部を蒸散させる方法です。
髄核がレーザーの熱で蒸散したり変性したりすると線維輪から突出したヘルニアがへこむ、あるいは神経への圧迫がなくなる、という仕掛けです。
この絵だと前から挿すように書いてありますが腰椎や頸椎の場所によって挿す方向は異なると思います。(専門家ではないのでわかりません)
PLDD法について調べました。


他のページの記事なども参考にPLDD法について一通り調べてみました。
  APLD法同様に髄核に針を挿す方法なので切り開く手術に比べると安静期間や入院期間が非常に短い。低出力レーザーで髄核を蒸散させて圧力を下げ、線維輪から飛び出したヘルニアを後退させる方法。


医療機関の記事ばかりで患者の人の情報は得られませんでした。また健康保険のきかない治療法というのがどのようなものなのかも分かりません。これだけの情報では不安でいっぱいです。



朝日ネットのメディカルプラザに問い合わせました。ここは個々人の医療相談にのってくれるところではなく医療情報を教えてくれるところです。ここにメールを出してPLDD法が確立された技術であるかを尋ねました。回答をくれた方は整形外科の人ではなかったので特別 コメントはありませんでしたが、米国の論文の所在を教えてくれました。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/htbin-post/Entrez/query?uid=10204439&form=6&db=m&Dopt=b
これはコロンビア大学におけるPLDD治療の結果を報告したものです。専門用語が多いため辞書を引きながら読みました。



健康保険適用外医療というのがよく分からないので、会社の中で医療ガスを取り扱っている同僚に聞きました。
海 外で例が多くても日本ではすぐに保険対象にならないこと、保険対象外だからといっていい加減な医療サービスがある訳ではないこと、実際にそのような治療を している医師に会ってみなければ分からないとアドバイスをくれました。国の高度先端医療制度になっていることもあるそうです。
厚生省のホームページを探したところ、このPLDD法も高度先端医療制度にありました。登録されているのは3つくらいの医療機関でしたが、PLDD法自体 は海外でも実績があり国内でも多いことがわかり、けっしていい加減な治療法ではないことが分かりました。自分の健康に関わることですから、どうしても慎重 になります。

ヘルニア治療の問い合わせ


自分の症状とPLDD法でヘルニアを治したいということを書いてメールを出しました。



場所が千葉県ということでなんとか行ける距離です。とにかく問い合わせをすることにしまし た。ひょっとしたらとんでもない治療かもしれない、と一抹の不安をもちながら返事を待ちました。数日後にていねいな返事が来ました。入院は4日程度である こと、治療費はサラリーマンが出せないようなものではないことなどが、ひととおり分かりました。100%よくなると書いてあったら疑うところでしたが、全 てのヘルニアに有効という訳ではないがかなりの効果があるとのこと。少し希望がみえてきました。


女房(ママちん)や親にも相談しました。



9月15日に千葉のMクリニックにメールを出し、9月19日にメディカルプラザからの返事を受信、9月20日にMクリニックからの返事を受信。自分なりに決心がつき始めました。
女房に相談しました。この病気で長年苦しんでいるのを本人以外で一番よく知っているのが女房ですからもし反対されたらその場で諦めるつもりでした。とりあえず先生に会って診てもらおうということで、意見は一致しました。

10月初めに福岡の姪の結婚式があったので実家に帰って両親にも説明しました。母は、しっかりと病気を治しなさいと励ましてくれました。
会社の同僚あたりだと、首は大事な部分なので無茶をしない方がよいとか、そんなところをさわるのは危ないという人が多いようです。私としては、大事な部分 だからこそきちんと治したいと思うのですが、命にかかわるのではないかと心配する人が多いようです。


クリニックに電話しました



クリニックの午後の診療開始時間直前がいいだろうと考えて電話をしました。整形外科の担当の看護婦さんにつないでもらっ たところ、事前の検査や診察などは健康保険がつかえること、えきればMRIの写 真を借りて持ってくること、遠方なので予め時間を予約することなどを話しま した。電話するまでは少しドキドキしていましたが、少し前進しました。
 
 

PLDD法手術(頸椎の椎間板ヘルニア)

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PLDD法手術のために入院しました。これはその日記です。
    10月29日(金)
    しばらく会社を休むので仕事の整理をして、午後は休み。
入院に必要な着替えなどを買うために日本シリーズ優勝に沸くダイエーに寄る。(我が家はそろって福岡ダイエーホークスを応援している)
ここ1週間くらいは、ヘルニアの調子が悪く、目眩や肩の痛みが続いている。へたに調子がいいと手術する気持ちが萎えるのでかえっていいのではと思うが、やはりつらい。 会社に戻ってくる時に元気になり過ぎて厳しくなるのではないかという部下達の心配や期待に応えたいと思う。
    10月30日(土)
   
入院前日でやめたくなるのかと思ったが、症状が強くてつらいので、病院まで行けるのかという気持ちの方が強い。
    10月31日(日)
   

駅まで女房が車を運転。二人で電車に乗る。
サトタクは留守番。最近結婚式で数日 家を空けたのであまり心配していない。常磐線土浦ー上野ー東京ー外房線茂原のルート。東京駅のホームが京葉線なので地下のかなり遠いところにある。東京 モーターショーを幕張でやっているため朝早いのに乗客が多い。ただし特急わかしおは、あまり混んでいない
     

日曜日は休診日なので守衛さんに入れてもらい受付をする。入院患者がいるので外来は休みでも 看護婦さんは仕事中。病室に案内されて必要な手続きをするのだが、部屋に案内されて思わず「えっ。個室なんですか?」と言ってしまった。考えたら3泊4日 なら個室の方が気兼ねがないかな、と思う。「そうです。個室ですよ」との返事。
後でよく見たら、3分の1は日帰り手術用の病室、3分の1は個室、残りは3人部屋くらいで想像していたのとはずいぶん違う。
部屋にはテレビ、バストイレ付きでビジネスホテルのような感じ。ただしベッドは上下したりリクライニングできる車輪付きのベッドでここだけに病院の雰囲気がある。
     

できる限り患者が自分でできることは自分でするという考え方のよう。
体温計は各自持参していて体温は自分で測って報告する。あまり人の手を煩わせることがない。食事も通 常は食堂で入院患者が一緒に食べる方式。気持ちが病人にならないのがいい。ただし、翌日手術、3日後退院予定だとあまり人と会話する気分にはならない。
入院の説明を受けて、検査や治療の手順(マニュアル付き)を習い、必要書類を書いた後はひたすら暇になってしまったので女房は家に帰ることにした。
     

通常のマニュアルだと手術前日はいくつかの検査があるが、日曜日なのでほとんどの検査は翌日 ということになった。前日には手術する場所の毛をそっておくことになっているが、首の正面 のヒゲをそるのにいちいち看護婦さんの手を煩わせることもないの で翌朝自分でヒゲをそることになった。
昼食と夕食をきちんとした時間に食べるとほとんどすることがなく、ひたすら体調を整えることに専念する。普段これだけ早い時間(夕方6時)に夕食をとるこ とがないので夜は腹が減るががまんする。夕方ベッドでうとうとしていたので日本グランプリが始まる時間(夜10時)には目がさえてきた。入院中はきょうだ け風呂に入れるのでしっかり洗う。



買ってきたヘッドフォンをテレビにつないでベッドでF1を見る。看護婦さんに見つかって注意 されるのではないかとひやひやして見ていたが偶然この時間には見回りがなかったので、ハッキネンの逆転チャンピオンまでしっかり見てしまった。おかげで手 術前日の緊張もなくレース終了後はぐっすりと眠ってしまった。
PLDD法による頸椎椎間板ヘルニア治療スケジュール
 
安静
食事
カラー
検査・処置
点滴・注射
清潔
その他
手術前日   普通食   入院手続き
抗生剤テスト
心電図
  シャワー洗髪可能 外出・外泊禁止
手術当日 手術後3時間絶対安静 朝:軽食
昼:絶食
夕:普通食
手術後3時間より常時装着   手術後のMRI検査予約 11時点滴開始
手術前1本
手術後2本
入室前筋肉注射
  点滴前に手術着更衣
ストレッチャーで入室
手術翌日 歩行可能 普通食 常時装   9時:点滴
15時:点滴
清拭  
手術翌々日 歩行可能  朝:普通食
昼:普通食
常時装着   9時:点滴
15時:点滴
  退院
2週間目     常時装着 MRI検査・診察     重いものを持ち上げる動作は禁止
4週間目       MRI検査・診察     通常生活に戻る


11月1日(月)手術当日

大型の低気圧のために全国的に天気は荒れ模様。停電になったりしないかとやや心配。看護婦さんにもらった剃刀でヒゲをそる。
心電図の検査。抗生剤反応テスト。消毒用アルコールのテスト。
     

11:30/手術着に着替えて点滴を開始。手術用の点滴ということで金属の針を一度刺した後プラスチック製の長いものに交換。
     

13:00/そろそろ出番ですよと看護婦さんに言われてストレッチャーという車輪付きの担架 に乗る。点滴はしたまま。廊下で肩に筋肉注射を2本した。前日の説明でも「かなり痛いですよ」と言われていたが本当に痛い。小学生の頃に受けたコレラの予 防注射を思い出す。ズキズキするが緊張しているせいかすぐに忘れる。
病室で待っているという女房に、いってきますと言って出発。
ストレッチャーに乗ったまま廊下やエレベータを移動。頭が前なので天井の蛍光灯などが上から下に流れる妙な感じ。ゆっくり移動しているはずなのだが、かなりスピード感があるのに驚いた。自分で運転していない乗り物は速く感じる。
     

CTスキャン室に入って検査台のようなものに移る。後で動かしやすいようにと体の下にバスタオルを敷く。頭や腹の当たりにベルトが巻かれて固定。X線検査技師の人がCTスキャンの映像を見ながらパッチのようなものを首の付け根に貼っている。どうやら位 置決めを行っているようだがCTスキャンのアームと天井しか見えないのでよく分からない。興味が沸くが、仕事の邪魔にならないようにひたすら黙っている。看護婦さんが首の周りに消毒液のようなものをたっぷりと塗る。
     

主治医の先生が入ってきて声をかけてくれる。注射のせいか眠くなってきた。手術中に眠ってしまわないか少し心配。先生とX線技師の人の会話が聞こえてくる。頸椎の間隔が狭いということも話していたので、ここまで来て手術が中止になるのではないかとやや不安。
それよりもいつ麻酔をするのか分からない。ひょっとして麻酔をかけるのを忘れているんじゃないかと思ったりする。顔に緑色の布がかけられて周りを見ることはできなくなる。手術の様子が見えると思っていたので少し残念。
     

先生が、チクンとしますよ、と言って首の付け根付近に注射。次に押しピンを刺すような感じで 先生の指が首の付け根を押すのを感じる。どうやらチクンとしたのが局所麻酔のようなのだが全く痛くない。首の付け根に手術用の針が入っていっていることは 何となく感じるが、全く痛くないので本当に深く入っているのか自分ではよく分からない。
針の先端の位置決めをするのに肩を下げたりする。自分の力だけでは十分に肩を下げられないので先生の合図で看護婦さんが両手をぐっと下に引っ張ったりする。どうやら看護婦さんは二人いるらしい。
どのくらい時間がたったのか分からないけれど、先生が、いい位置に針が入っていますよ写 真を取りますよ、と言われて皆手術室から離れたようだ。CTスキャンの中に入って写 真を撮ったらすぐに皆戻ってきた。レーザーを照射する前に針の先端を再確認したらしい。
     

ここまでがどちらかと言うと手術の準備のようなもので、ここまでは従来でも検査用の針を刺すことは多かったらしい。ただCTスキャンで念には念を入れて位 置を確認するのはPLDD法のために特にやっているとのこと。
先生に始めますよと言われて、どうか治りますようにと祈る。
     

手術中は、なぜか忙しく、あっという間のことだったので後であまり正確におぼえていないかもしれない。その日の夜にメモしたのが次のような様子。
        1回目のレーザー 照射 先生が気分はどうかと尋ねる。足が何となく暖かく感じると答える。太ももにあった強い凝りが急に楽になる
        2回目のレーザー なぜか頭がすっきりとする。少し眠気があるが気持ちよい。先生が他の患者さんの例などを話しながら進める。こちらもできる限りその時の気分を報告するが布がかぶっていて声がこもるので話しにくい。
        3回目のレーザー 体全体が楽になっているのが分かる。
        4回目のレーザー 肩甲骨の間にズキンという痛み。反応が出ているとの説明。
        5回目のレーザー 念のためにもう少しやりましょうとのこと。最初の説明で、椎間板が狭いから出力を下げて他の人より時間をかけてやりましょうと言われていた。肩や両腕が軽くなったのが分かる
     

手術を終了。タオルケットごと、せーのでストレッチャーに移される。すぐに先生が腕の検査を してくれる。これまで曖昧だった左手がかなりしっかり握れるのに驚く。ストレッチャーのまま病室まで戻るが、周りの景色が妙にハッキリ見える。最近老眼が 出始めて焦点が定まりにくかったりいたのがきれいに見える。すごく不思議な感覚。
移動しながら、気分を聞かれてとてもよいと言うと看護婦さん達に、よかったですねと言ってもらえた。なぜか急に涙が出そうになってぐっと堪えた。とにかく嬉しい。
病室前の廊下で今日のスポーツ新聞を見つけた先生と昨日の日本グランプリの話しをする。
心配していた女房もひと安心。時計を見ると病室を出て50分くらいで戻ってきたようだ。病室のベッドで3時間は安静。

PLDD法手術の後(頸椎の椎間板ヘルニア)  △トップ

PLDD法手術のために入院しました。これはその日記の続きです。
    11月1日(月)手術当日

安静時間が過ぎて首にカラーを巻く。ポリネックカラーというプラスチック製のもの。首の安静を保つため2週間つけることになっている。
昼食は抜きだったが夕食は自分で歩いて食堂まで行って食べる。
夜中にあちこち痛くなるかと心配したが何ごともない。ただし寝返りをうつのが難しくそのたびに目がさめる。
    11月2日(火)
     

低気圧も過ぎて天気が回復。朝の検温の放送で目がさめる。前日まで36度6分くらいだったのが35度5分に下がる。朝食をとって、9時から点滴。疲れが出たのか点滴中ずっと眠ってしまった。
     

女房もかなり疲れていると思うので今日は病院にこない。片道3時間の道のりを2日続けたので心配。家に電話。会社に提出する診断書を書いてもらう。
     

1階の外来まで降りて缶コーヒーを買う。初めて気付いた。首にカラーが巻いてあると缶 コーヒーが最後まで飲めない。当然うがいも難しい。
肩甲骨の間が時々ズキッとする。今までこんな痛みはなかったので少し気になる。今まで痛みを感じないくらい悪くなっていたのが好転反応しているのだろうと自分なりに解釈。あまり動かさないようにしていれば痛みはない。
     

手術前に右肩にした筋肉注射の跡がかなり痛い。
      手術前との違いをメモする
      頭のもやもやがなくなり非常にすっきりしている。足元を見ても目眩がない
眼鏡をとって離さないと読めなかった新聞が距離に関係なく読める。
足の指先にあったしびれと足の筋肉の凝りがない
握りにくかった左手がしっかりと握れる
      午後、廊下をうろうろしていたら回診中の先生に出会う。やばいと思って廊下の隅をこそこそ歩 いていたら、もっと元気よく歩きなさいと注意された。安静にしていないのを注意されると思っていたので意外。先生といろいろな話しをする。首全体に貼っていた大きなガーゼをはずして絆創膏に換えてもらう。少しかぶれているが大したことはない。
        大きなつらさや痛みがなくなったので、些細なところが気になりだす。注射の跡や肩甲骨のあた りが時々痛い。少し気になるが手術後間もないことを考えて気にしないようにする。手術で終わるのではなく、リハビリも含めて手術から始まると考えるのが正 しいと思う。この5年以上こんなに体が楽だったことはない、それだけでもとても有り難い。
    11月3日(水)文化の日
      水曜日は病院が休みの日だが休日当番日ということで病院は開いている。朝起きるとすぐに手を握ってみる。最近は朝がいつもつらく、しばらくは物を握れない状態だったので、目がさめてすぐに手を握れるのがうれしい。
      朝から腹の調子があまりよくない。連日暑かったのが急に冷え込んだせいか。
9時から点滴。11時に先生の回診。今日で退院できる。
      退院のための支払いなどを済ませて、午後の点滴を少し早めてもらって4時前の特急わかしおに 乗って家に帰る。4日間で3往復もしたせいか女房の体調はあまりよくない。しかしまだ重いものを持つのは厳禁なのでほとんどの荷物を持ってもらう。常磐線 は奮発して特急指定席にする。
手術後2日しかたっていないのでとにかく慎重に。病院を出る時に先生から、「ころばないように」と言われたのを思い出してゆっくりと歩く。家に帰り着いた時は、とっぷりと日が暮れていた。手術も無事済んで体調もいい。
3日ぶりに風呂に入る。カラーをはずすと少し不安定なので首を大きく曲げないように注意する。入院中はとても居心地のいい病院だったけれど、やはり自分の家は気が休まる。
    11月4日(木)〜12日(金)
      体がなまらないように近所を散歩するように心掛ける。
寝ている時もずっと首にカラーをしているのでつらいと思うこともある。
レンタルビデオを見たりして時間を過ごす。テレビゲームはけっこう疲れるので2日間ほどやってやめた。パソコンもほとんど触らずメールの確認程度。
    11月13日(土)2週間目の検査
      病院に行ってMRIの検査を受ける。まだ完全にヘルニアが後退しているようではないが症状はかなりいい。カラーをはずして徐々に首を動かす方法等を習う。
何かの動作をするたびに緊張して肩があがってしまうのを先生や看護婦さんに注意されるが子供の頃からの習慣なのでなかなか直らない。サトも同じことを学校でよく言われるらしい。遺伝か?
次週から会社に行くのも許可が出たので長い休みもこれで終了。4週間目にもう一度検査をしてその後は通 常生活に戻れる予定。
    11月15日(月)久しぶりの出社
   

片道20kmの道のりを久しぶりに車を運転して出社。少し不安なのでカラーをつけて運転した。これまでリラックスして静養していたので、車の運転というのがかなり緊張するというのを改めて実感した。
    11月16日(火)から19日(金)
     

少しずつ体を慣らしながら1週間通勤。徐々にカラーをはずす時間を短くしていくが、なかなか筋肉がつかず、支えるのがつらい。途中で肩凝りが少しでるが、これまでのとは違い風呂に入ったりすると楽になる。
    11月22日(月)から26日(金)
     

火曜日が祭日なので月曜日に休暇をとる。徐々に回復しているのは分かるが、1週間の仕事の疲 れがどっと出て少し風邪ぎみ。週末近くになって2日間完全にカラーをはずしたままにしていたらばてた。「手術で全ておわりになるのではなく、それから始ま るつもりで」という先生の言葉を思い出す。機能回復という意味ではかなり良い状態だけれども、体調万全というにはまだまだリハビリが必要。首の運動もまだ つらい。
    11月27日(土)
     

4週間目のMRI検査。病院まで片道100kmの道のりを車で往復。
検査の結 果、2週間目よりまた少しヘルニアが後退している。体調がすっきりしなかったので悪くなったのではないかと心配していたけれど、映像的には少しずつよく なっているらしい。手術直後に圧迫がとれて、いきなりぐっとよくなった時の感じが強いため、その後少しずつよくなっているのが自覚できていない感じ。
5年以上も悩んでいたのだから、ここで焦ってもしかたがないと思い直す。
看護婦さんの、「以前と比べて顔色も表情もよくなりましたね」という一言で元気が出てきた。この日で、手術からリハビリまでの4週間の治療はひとまず終了。病院まで遠いので多分もう来ることはないと思う。

この後、日記はありませんが、順調に回復して症状は消えてしまいました。