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新・漫画ガスの話 47
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作成日2020/10/23 更新日2022/04/06

Eガスの科学/温度の話 セルシウス度

ファーレンハイト度から約20年、スウェーデンの天文学者セルシウスが独自の温度目盛りを提唱しました。
水の凝固点(氷の融点)を100度、水の沸点を0度として、その間の水銀温度計の伸びを100等分して目盛りを打つというものです。水は特殊で不思議な物質なので科学的な定点に利用するのは不向きな物質ですが、とにかく身近で、凍ったり蒸発したり沸騰したりするのは日常的に観測できるものです。
セルシウスは、日常生活の中でマイナスの温度が現れないように、沸点を0度にしました。非常に暑い日でも気温はゼロまで下がりません。そしてものすごく寒い日の気温は100度以上に上がります。セルシウスが考えた温度は、寒い=気温が高い、熱い=気温が低いというものでした。
これはセルシウス度に限ったことではなく、熱い=温度が低い、寒い=温度が高い、という温度目盛りは他にもあり、高温=熱い、低温=寒いという現在の常識はセルシウス以降に作られたものです。

セルシウスが亡くなった後に、スウェーデンではセルシウス度の温度目盛りを逆にすることが提案され実施されました。氷点は100度から0度に、沸点は0度から100度に改められ、温度目盛りは正反対にされたのです。
その当時、提案されていた温度目盛りのうち、熱い=高温、寒い=低温という方向で決められたものが多く、セルシウス度もこの向きに変えられたのです。
百花繚乱であった温度目盛りが次第に絞られてきて、残った温度目盛りは全て、熱い=高温、寒い=低温という方向となったため、18世紀以降、科学温度が発見され、熱エネルギーの概念が提唱されてからは、低温=寒い=低エネルギー、高温=熱い=高エネルギーという常識が定着しました。

日本には明治まで「温度」という概念がありません。
幕末頃に入ってきた西洋の機械(特に西洋から輸入した軍艦など)についていた温度計の和訳には様々な候補がありましたが、福沢諭吉が考えた「寒暖計」が辞書にのることになりました。ヒトの寒暖の感覚と温度という概念の間には直接の関係はありませんが、発展途上国であった日本では、ファーレンハイトやセルシウスの古い時代の科学から学び直さなければなりませんでした。
1940年代、戦争中であった日本では、船舶や航空機などの寒暖計の呼び名が、科学技術の用語としてはなじまないと考えられ、「温度計」という名前が付けられました。日本語の「温度計」にはまだ80年しか歴史がありません。